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学生団体と社会を接続し、挑戦が波及する循環をつくり出す。ラグザスが「GAKUNITYプロジェクト」を通して見据える価値創造

イントロダクション 現在、社会課題の解決に向けた取り組みは大きな変化の只中にあります。少子化・地域コミュニティの希薄化・環境問題など、多様化・複雑化する課題に対し、行政や企業だけでは十分に応えきれない領域が広がっています […]

イントロダクション

現在、社会課題の解決に向けた取り組みは大きな変化の只中にあります。少子化・地域コミュニティの希薄化・環境問題など、多様化・複雑化する課題に対し、行政や企業だけでは十分に応えきれない領域が広がっています。その一方で、大学生が主体となって課題に向き合い、独自のアプローチで実践を積み重ねる動きが全国的に加速しています。

しかしその一方で、その価値が社会にどれほど届いているかという視点で見ると、熱量の高い活動が十分に可視化されず、「知らないまま終わってしまう」という現実があります。こうした状況に対し、ラグザスが運営する「GAKUNITY(ガクニティ)」は、社会課題に取り組む学生団体を発信するメディアプラットフォームをつくり、社会課題解決に向けた新たな接点構築や挑戦機会を創出しています。

本記事では、このプロジェクトがどのように立ち上がり、どのような価値を社会に届けようとしているのか。その背景と取り組みの核心に迫ります。

なぜ今、学生団体の“価値可視化”が必要なのか

―近年の動向と見えてきた課題―

次世代教育、地域活性化、国際支援など、多様な社会課題領域で活動する学生団体は、この数年で着実に増加しています。自ら課題を見つけ、企画から実行まで主体的に取り組む団体も多く、その活動の専門性・継続性は以前よりも格段に高まっています。

一方で、こうした価値ある取り組みが「社会全体に正しく認識されているか」という視点に立つと、明確な課題が浮かび上がります。発信が個別SNS等の限定的なコミュニティに分散していることで、情報は点在し、活動が十分に可視化されにくくなっていることで、「活動価値の高さ」に対して「社会的な認知」が追いつかず、成果の波及や次の挑戦につながる機会が十分に生まれないというギャップが発生していました。このような活動価値が社会に浸透しにくい状態は、新しい連携創出の阻害要因にもなっていました。

加えて、発信される情報も表層的な内容に留まりやすく、活動の背景にある課題設定や意図が伝わらないことで、社会側の理解や関心が深まりにくいという構造的な問題も見えてきました。結果として、学生団体が積み上げている価値が広く共有されず、社会全体の変化につながりにくいという課題が顕在化していました。

本来、こうした取り組みが正しく可視化され、背景や意義まで含めて理解されることで、個人・企業・地域が社会課題に向き合う新たなきっかけが生まれます。そして、協働や支援の接点が増えれば、社会課題解決は大きく前へ進む可能性があります。しかし現状では、こうした接点を生み出すための構造が十分に整備されておらず、価値の伝達不足が領域全体の成長を阻む要因のひとつになっていました。

大田美奈 HR企画推進室 兼 GAKUNITYプロジェクトリーダー
2024年にラグザス株式会社に新卒入社。HR企画推進室で人事として人材採用/人材育成/採用広報に従事する。入社2年目には、人事の業務と並行しながら、学生団体応援メディア「GAKUNITY」の企画構想・設計・実装を主導する。

学生団体応援メディア「GAKUNITY」とは
主に関西圏で活動する学生団体を対象に、各団体の問題意識・取り組み内容・将来ビジョンを発信するWebメディア。メディア名は「学生(GAKU)」、「挑戦が集まるコミュニティ(Community)」、「社会とつなぐ(Unity)」を組み合わせた造語で、活動の可視化を通じて、学生団体と社会の接点を広げることを目的とし、地域課題・教育・環境・国際交流など、多様な領域で活動する団体の情報を体系的に掲載している。

ラグザスが運営する「GAKUNITYプロジェクト」

GAKUNITYは、このような「学生団体の発見機会の不足」、「取り組みの意義が十分に示されず、共通理解が形成されにくい」という課題に対し、「学生団体の取り組みや問題意識を体系的に整理し、社会への接点を生み出す」という役割を果たすメディアとして構想されました。

このメディアでは、活動を単に紹介することをゴールとするのではなく、問題意識の根底にある視点や、どのような未来を描いているのかまで深く可視化することで、社会課題に向き合う取り組みの理解を促進し、新たなつながりや行動のきっかけになる循環を創り出します

「GAKUNITY」に掲載される学生団体の記事

価値が届かない“ギャップ”を埋める。GAKUNITY が提示する、価値を社会につなぐ新しいアプローチ

ラグザスが運営するGAKUNITYプロジェクトは、学生団体の価値が社会に十分に届いていないという構造的課題に対し、「可視化」と「接続」の両面からアプローチするメディアとして設計されました。学生団体の活動の量や質が高まる一方、その価値が社会側に正確に届かない状況を踏まえ、まず取り組んだのは「何を、どこまで、どの深度で届けるべきか」という設定です。

従来の学生団体紹介は、どうしても活動概要やイベント紹介に焦点が置かれやすく、背景にある課題設定や原体験が十分に伝わらないという特徴がありました。そこでGAKUNITYでは、「活動そのもの」ではなく「活動の起点にある問題意識」に着目し、課題構造、取り組みに込めた意図、描いている未来像までを含めて整理する「深度のあるドキュメンテーション」を中心に据えています。単なる事例紹介ではなく、読者が社会課題の構造や意義を理解できるコンテンツとして提示することで、活動の本質的価値を広め、新たな挑戦機会を創出します。

また、情報が個別コミュニティに散在していた課題に対しては、学生団体をテーマや領域ごとに体系化し、「面」として活動を捉えられる情報設計を行いました。これにより、読者は単一の団体理解にとどまらず、地域全体でどのような課題に、どんなアプローチが存在しているのかを俯瞰できるようになり、学生団体の活動を社会課題領域の文脈の中で捉え直すことが可能になりました。

さらに、GAKUNITYは価値を可視化して終えるのではなく、企業・自治体・地域住民・学生など、多様な主体との「次の接点」を生み出すことにも重きを置いています。記事内で問題意識・取り組み内容・今後の展望を理解した読者が、そのまま支援や協働に進めるよう、SNSや問い合わせフォームへ遷移できる導線を設計。これにより、学生団体・企業・自治体・地域住民など、多様な主体がつながる新たな協働機会が生まれる基盤を構築しました。

GAKUNITYが前提としているのは、学生団体の「活動紹介を行う」メディアではなく、「新しい価値や視点を社会に提供する」メディアとして位置づける考え方です。活動の背景まで丁寧に可視化することで、学生団体が持つ知見や挑戦が、地域や企業にとっても有用な資源として再認識され、これまで接続されてこなかった領域同士の橋渡し役となることを目指しています。

こうした一連の設計により、GAKUNITYは、学生団体の価値を深く発掘し、体系化し、社会へつなぐメディアとして機能するモデルを構築しました。価値を「見える化」するだけでなく、社会課題に挑む人や団体を支える「循環の起点」をつくること。それが、GAKUNITYが掲げるメディアとしての役割です。

学生団体との取材の様子

GAKUNITYプロジェクトが生み出し始めた変化

ラグザスが運営するGAKUNITYは立ち上げから約3か月という短期間で、関西圏を中心に30を超える学生団体への取材と記事化を進めてきました。

まだプロジェクトは初期段階にありますが、活動の背景や意図まで深く掘り下げる方針により、すでに複数の団体から「活動の意義を再認識する機会になった」「組織としての視座が揃った」といった声が寄せられています。これは、GAKUNITYが外部への発信だけでなく、団体内部の認識を整える内的価値にも寄与し始めていることを示す動きと言えます。

また、記事という形で整理された情報が生まれることで、団体自身のSNS発信や、外部コミュニティでの共有が活性化する様子も見え始めました。従来は点在していた情報が、第三者が読み解きやすい形に変換されることで、「活動を知るきっかけ」が増えている点は、初期フェーズにおける重要な兆しだと捉えています。

さらに、教育支援、地域活性化、国際交流、環境保全、子ども支援など、複数のテーマが蓄積されることで、地域における学生の社会課題へのアプローチを俯瞰して把握できる基盤が整い始めました。
これまで個別に存在していた活動が、領域横断で可視化されることで、「この地域にはどのような課題があり、どの団体がどんな視点で取り組んでいるのか」という大局的な理解につながる可能性があります。

こうした初期の変化は、GAKUNITYが単なる情報発信メディアにとどまらず、学生団体と社会の間に新しい接点を生み出すプラットフォームへと発展し得ることを示しています。記事を通じて背景や意図が共有されることで、企業や自治体、地域住民など、多様な主体が学生団体の取り組みにアクセスできるようになる。これにより、新たな協働、支援、プロジェクトが生まれる「入口」として機能する可能性が広がっています。

GAKUNITYを起点に挑戦の連鎖をつくり出す。GAKUNITYを通してラグザスが見据える今後のビジョン

GAKUNITYプロジェクトが目指すのは、活動を紹介するだけのメディアではありません。活動の背景にある課題設定や原体験まで可視化し、社会課題に対する解像度を高めることで、読者の認識や行動を変える新しい「気づき」を生み出すことを重視しています。価値が正しく認識されることで、学生の挑戦が次の挑戦を生まれる連鎖を社会の中につくり出すことが、GAKUNITY のコアコンセプトです。

価値が正しく認識されることは、挑戦を次の挑戦へとつなげるための前提条件でもあります。
学生団体が取り組む社会課題の知見や実践が可視化され、それを読んだ個人や企業に新たな気づきが生まれる。こうした認識の連鎖こそが、社会課題領域における変化を前に進める力になると考えています。

今後は、新たな挑戦やつながりを生み出すプラットフォームとしての役割を基盤にしながら、学生団体と私たち企業がそれぞれの視点・リソースを掛け合わせ、新たな取り組みを創出するアプローチも視野に入れています。単に「応援する側」にとどまるのではなく、同じ課題に向き合う「主体」として関わることで、社会課題解決に向けた実践を共に前進させていく。こうした共創的な関わり方が、今後の機会創出や価値拡張につながると考えています。

社会課題に向き合う学生・企業・地域の間に新しい接点と連鎖を生み出し、「挑戦が挑戦を生む循環」をつくり続けること。それが、GAKUNITYを通してラグザスが今後実現していくビジョンです。