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留学を通じて日本の国際競争力を高める―。MiraiBridgeが描く市場・社会変革構想

イントロダクション グローバル課題への取り組みの第一歩として、2023年にM&Aを実施し、ラグザスグループの傘下にジョインした留学支援サービス「MiraiBridge」。 海外留学先として人気の高いオーストラリア […]

イントロダクション

グローバル課題への取り組みの第一歩として、2023年にM&Aを実施し、ラグザスグループの傘下にジョインした留学支援サービス「MiraiBridge」。

海外留学先として人気の高いオーストラリアへの留学を主に扱い、現地法人を構えているからこその手厚いサポートで、利用者からも大きな支持を得ています。そして2025年には、オーストラリアのシドニーにも新オフィスを開設するなど、事業をさらに加速させています。

今回は、そんなMiraiBridgeがどのように市場を捉え、どのような変革を構想しているのか。そんな変革構想に迫ります。

プロフィール

内村 政則(うちむら まさのり)

MiraiBridge 代表。
オーストラリアのCQU大学院に進学し会計学を専攻。卒業後にオーストラリア永住権を取得し、大手銀行であるウエストパック銀行へ入行。4年間の勤務を通じて金融実務に携わりながら、CPA(オーストラリア公認会計士)資格も取得する。
その後2014年に「ゴールドコースト留学.com(現:MiraiBridge)」を設立。
現在もオーストラリアに在住し、代表として事業の新たな展開を牽引している。

母里 翼(ぼり つばさ)

MiraiBridge 統括責任者。
2023年にラグザスグループへ入社。主軸事業の一つである「カーネクスト」のマーケティング責任者として成果を残したのち、新規事業開発の責任者として事業の立ち上げを行う。
その経験をもとに、2024年より国外にも拠点を持つMiraiBridgeの事業統括責任者として参画。マーケティングと事業戦略の両面から、事業の成長を推進している。

MiraiBridgeとは

MiraiBridgeは、日本の留学希望者と海外の教育機関をつなぐ留学エージェントサービスです。
現在は特に留学先として人気の高いオーストラリアに特化し、現地教育機関との強固なネットワークを築いています。
私たちの大きな特徴は、日本とオーストラリアの双方に拠点を構え、両国を横断してサポートできる点。現地には教育事情に精通したスタッフが常駐しており、出発前の手続き支援にとどまらず、到着後の生活・学業の両面に長期的に伴走できる体制を整えています。
つまり、単なる“留学斡旋”ではなく、留学という人生の転機を中長期的に支えるインフラとして機能しているのがMiraiBridgeです。

創業者内村の掲げた、社会変革構想とは

創業者に聞く、MiraiBridge創業のきっかけ

内村)
初めは私と、今も共に事業を行う斎木の二人で創業しました。二人とも、もともと留学経験が長く、そのリアルな体験を社会に還元できないか、そう考えたのが創業の出発点でした。そんな想いで創業したのが2014年。当時の留学市場では、留学を「ゴール」として捉える傾向が比較的強く、留学後の人生設計やキャリア形成にまで踏み込んだ仕組みは、今ほど一般的ではありませんでした。

そのため、留学準備や手続きに対して利用者から手数料を受け取る“短期的なサポートモデル”を採用するエージェントが市場にも多く存在していました。

私たちは、まさにその構造を変えたいと考えたのです。

留学を「ゴール」ではなく、「人生の新たなスタート地点」として再定義する留学という経験を通じて、その後の長期的なキャリアや生き方までをデザインできる仕組みをつくる。それが私たちの描いた市場の変革構想でした。そのために、利用者からは手数料を頂かない最低価格保証」と現地エージェントだからこそ提供できる伴走型サポートという2つの柱を据え、単なる留学仲介事業ではなく、留学後の長期的な人生設計にも責任を持つ新しいモデルとしてサービスを設計しました。

▲Miraibridge創業時の写真

創業者に聞く、海外拠点を選択した理由

内村)
私たち自身が創業当時オーストラリアに住んでいて、単純にオーストラリアが好きだったというのはあります(笑)

しかしそれ以外にも先ほどお話しした“留学をスタートとして捉える”という発想に立つと、真に価値のある支援は出国前だけでは完結しません。むしろ重要なのは、渡航後のリアルな生活・学び、そして何よりその後の人生設計をどう支えるか。当時、多くの留学エージェントは日本国内に拠点を構え、サポートの大半が出発前~留学期間中の支援を占めていました。

しかし私たちは、留学の経験を活かしてどんなキャリア人生を設計していくのか?こそが重要だと考えていたからこそ、現地に根を張り、留学中のサポートにとどまらず、その後の現地大学院進学や永住権取得等長期のサポートまで出来る体制を選びました。

海外拠点を持つということは、単に現地サポートを行うという意味ではありません。
それは、「送り出す側」から「共に歩む側」へと立場を変える、つまりサービスの構造そのものを変える選択でもありました。こうしてMiraiBridgeは、“留学を支援する会社”ではなく、留学後の人生を共に設計するサービスとして歩み始めました。

▲Miraibridgeについて話す内村

市場における変化と成長

リリース後の反響と市場の変化

MiraiBridgeのリリース当初、留学エージェント業界は競合が多く、“認知の壁”を突破することが最初のハードルとなっていました。しかし、オーストラリア留学需要が年々拡大する市場環境の中で、現地拠点を基盤とした長期伴走型サービスというMiraiBridge独自の価値が徐々に浸透。

「一人ひとりの留学体験と、その後の人生設計にまで丁寧に寄り添う姿勢」が支持され、利用者数は着実に増加していきました。

中でも特筆すべきは、現在に至るまで利用者の一定割合がリピーターや紹介経由である点です。
これは単に一度の留学支援にとどまらず、留学後のキャリア形成や次の挑戦にも継続して関与できている証であり、“留学をスタートとして捉える”というMiraiBridgeの思想が、利用者の人生に確実に機能している結果だといえます。

さらに、利用者側の変化と並行して、市場構造にも大きな変化が生まれました。
MiraiBridgeは創業当初から「渡航者から手数料をいただかない」ビジネスモデルを採用してきましたが、当時はまだ少数派のアプローチでした。しかし近年では、同様に渡航者負担をなくすエージェントが増加し、現地に拠点を構える事業者も増えつつあります。

つまり、かつて主流だった 「いかに渡航者から収益を得るか」という短期的な志向 から、
「いかに留学後の価値を創出できるか」という長期的な視点 へ、業界全体がシフトし始めているということです。このように、MiraiBridgeが創業時から掲げてきた留学をゴールではなくスタートにする
という価値観は、いまや市場全体の構造変化を後押しする存在となりつつあります。

▲Miraibridgeについて話す母里

▲Miraibridge公式サイト

新たに見えた利用者や市場のニーズ

そんな中、利用者の留学に対する意識も変化を見せ始めています。

以前は「海外に行くこと」自体が目的化していた時代でしたが、今は「留学を通じてどんなスキルを得たいか」「それをどう人生に活かしたいか」といった、目的意識を持つ利用者が増加。そうした変化もまた、MiraiBridgeが創業時から掲げてきた「留学をゴールではなく人生のスタートにする」という考えと強く重なります。だからこそ、一人ひとりの目的に合わせて設計するカスタマイズ型の留学支援は、現代の利用者の意向にも非常にマッチするものになっています。
さらに目的の持ち方の傾向として「自分に最も合った学び方を選びたい」という声も近年増加傾向にあります。これは単に留学に対して自由度を求めるということではなく、自分のキャリアや価値観を基軸に、留学を「自己実現の手段」として設計する人が増えているということ。

私たちは創業当初からカスタマイズ型の支援を続けてきましたが、今では市場全体が“個の時代”へと移行しつつあり、そうした利用者の価値観の変化が追い風にもなりサービスは拡大を続けています。そんな中、次に私たちが目指すのは、この変化を日本社会全体の変革へと広げていくことです。

▲Miraibridgeについて話す内村・母里

MiraiBridgeによるこれからの社会変革構想

MiraiBridgeが見据えるのは、「留学」という個人の挑戦を通じて、日本全体の国際競争力を底上げしていくことです。
日本の国際競争力は長期的に低下傾向にあり、世界競争力年鑑のデータでも1990年代以降順位を落とし続け、近年では30位台にとどまっています。こうした背景を受け、国も2011年の「グローバル人材育成推進会議」の設立や自治体の留学支援制度の拡充など、海外とつながる人材の育成に本格的に注力し始めており、少子高齢化や人口減少が加速する日本では、もはや“国内だけで完結する社会構造”には限界があります。

だからこそ今後は海外人材と協働し、国境を越えて価値を創出できる力が欠かせません。そのためにも、異文化や多様な価値観に触れ、自身の思考をアップデートする「海外での経験」は極めて重要な意味を持つと考えています。

こうした社会背景の変化と呼応するように、利用者の意識も「とにかく留学したい」から「世界で通用する視野やスキルを獲得したい」へと変化しています。

MiraiBridgeはまさにこの潮流を追い風と捉え、海外で培った経験を武器に世界へ挑戦できる人材をより多く輩出していきたいと考えています。そうした人材の活躍が積み重なることで、日本の国際競争力を再び押し上げ、もう一度“世界経済を動かすプレイヤー”へと返り咲く力になるはずです。

さらに、海外へ渡航し活動をすることで、日本の立ち位置や強み・弱みも相対的に見えてきます。
つまり、外に出ることで初めて「日本を客観的に捉える視点」が育つ。こういった“外から自国を見る視点”を持つ人を増やす事にアプローチすることで、日本に新しい発想をもたらし、日本発のグローバルイノベーションを生み出す土壌も作り上げていきたいと考えています。

このように海外経験を通じて世界で通用する視野とスキルを持つ人材を育成し、さらに“外から自国を見る視点”を持つ人を増やすことで日本に新たな発想と国際競争力をもたらしていくこと。それがMiraiBridgeによるこれからの社会変革構想であり未来に果たしたい役割なのです。